ブックレビュー

【書評】むかしむかしあるところに、死体がありました。【本屋大賞 10位】

むかしむかしあるところに~

ときけば、おじいさんとおばあさんが…と頭で続けてしまうもの。

しかし、続く言葉は…

死体がありました。

いや、なんで

そんなタイトルと妙にインパクトのある表紙。

この記事では、古いけれども新しい昔話ミステリ、むかしむかしあるところに、死体がありました。 の書評を書いていきます。

本の概要

むかしむかしあるところに、死体がありました。は2019.4月に出版されました。

昔ばなし、な・の・に、新しい!鬼退治。桃太郎って……え、そうなの?大きくなあれ。一寸法師が……ヤバすぎる!ここ掘れワンワン。埋まっているのは……ええ!?

「浦島太郎」や「鶴の恩返し」といった皆さんご存じの《日本昔ばなし》を、密室やアリバイ、ダイイングメッセージといったミステリのテーマで読み解く全く新しいミステリ!

引用元:双葉社HP

作者の 青柳碧人(アオヤギアイト)さんは、他に数学ミステリ『浜村渚の計算ノートシリーズ』などのライトノベルも有名です。

5つの短編ミステリを収録

収録作品は全部で5作品

  • 「一寸法師の不在証明」
  • 「花咲か死者伝言」
  • 「つるの倒叙がえし」
  • 「密室龍宮城」
  • 「絶海の鬼ヶ島」

タイトルからもわかるように、日本人なら誰もが知っている昔話が舞台

Yomeko
Yomeko
それだけにこのもじりからは不穏な空気を感じますね…

各話は40~50ページくらいで、それほど長いわけではないので、気軽に読むことができます 

多数の賞にランクインする、評価の高い作品

本作は2020年の本屋大賞にノミネートされ、10位にランクインしています。

本屋大賞は、有名作家の選考委員によって決められる賞ではありません。

全国の書店員さんが全ノミネート作品を読み、一番売りたい本 に投票する形式で選ばれます。

近年、話題になることも多く、本屋大賞に TOP 10にランクインした作品はなかなか図書館でも読むことができません。

Yomeko
Yomeko
予約が1年待ちもざら

本作は、それ以外にも多くの賞でランクインしており評価の高い作品であることがわかります

  • 紀伊國屋書店スタッフが全力でおすすめする  キノベス!2020 2位
  • 読書メーター OF THE YEAR 20195位
  • 本の雑誌ミステリーベスト 6位
  • 週刊文春ミステリーベスト10 第7位 (文藝春秋)
  • ミステリが読みたい!2020年版 第8位 (早川書房)
  • 2020本格ミステリ・ベスト10 第9位 (原書房)

(Amazon紹介ページより)

本の感想

昔話 × 本格ミステリトリック

この本の面白いところは昔ばなしと王道のミステリトリックを掛け合わせているところ

  • 一寸法師 × アリバイトリック
  • 花咲か爺さん × ダイイングメッセージ
  • 鶴の恩返し × 倒述トリック
  • 浦島太郎 × 密室トリック
  • 桃太郎 × クローズド・サークル

あまりミステリを読まない方にとっては、ピンとこないものもあるかもしれませんが、どれもミステリー作品の王道のトリックばかり

王道であるだけに、これまでたくさんの作家さん達がいろんなアイディアを書いてきており、新しい驚きを生み出すのは難しいところ。

しかしこの作品では、昔話に出てくる象徴的なアイテムをうまく掛け合わせて、練りこまれたトリックが出てきます。

例えば、一寸法師で打出の小槌がキーアイテム(ネタバレになるので、詳しくは書きません)

 奇想天外なトリックにも、見えるので好き嫌いはわかれるかもしれません。

Yomeko
Yomeko
そもそも昔話を殺人事件にしてしまう時点で、奇想天外なんですけど…

村の言い伝えや各キャラクター、アイテムの特性などうまく利用して、しっかりとトリックとして成立させているところは非常に巧いなと関心しました。

Yomeko
Yomeko
特に気に入ったのは『密室龍宮城』

妙に人間味のあるキャラクタ達

この作品のもうひとつの魅力はキャラクター。

一般的に、おとぎ話や昔話のキャラクタは、 良い人・悪い人とはっきり区別されていますよね。

良い人が悪い人をやっつける、もしくは教えを説いて反省させるという、わかりやすいパターン。

勧善懲悪(カンゼンチョウアク)ってやつですね。

しかしこの作品に出てくる昔話のキャラクターはもっと人間味に溢れています

企み深さの陰で、大きなコンプレックスを抱えていた堀川少将

善良な青年だったが、お金を手に入れて人が変わってしまった弥兵衛。

人間だから、嫉妬もあるし、コンプレックスがあるし、欲望もある。何かのきっかけでそれが変わることもある。

だからこそ、昔話のストーリーの中でも、殺人事件が起きる。

その人間っぽい部分を出したキャラクタが、また面白さの一つになってましたね

Kindleなら短編を1作ずつ読める

この本、なんと、AmazonのKindleで分冊版が出ていました。

いきなり全部買うのはちょっと…

という方でも、まずはお安く1作品から読んでみることも可能。

Yomeko
Yomeko
最初に読むなら、『一寸法師の不在証明』や『密室龍宮城』あたりがおすすめ

この本が面白かった方が次に読むなら

もしこの本が気に入ったなら、 次におすすめするのは、綾辻行人さんの『どんどん橋落ちた』

「橋」のある場所で起きる殺人の、犯人当てミステリ短編集。

こちらも、ちょっと癖のあるトリックが出てくるのが、特徴。

短編集で短いですし、Kindle版もありますので、気軽に試してみてください。 

Yomeko
Yomeko
犯人を予想しながら読むとさらに面白いです

2020年の本屋大賞受賞作品一覧はこちら

また、本屋大賞 2020 他の受賞作リストも載せておきます

本屋大賞 2020

全国の書店員さんが今一番売りたい本 ベスト10

  1. 『流浪の月』 凪良ゆう 東京創元社
  2. 『ライオンのおやつ』小川糸 ポプラ社
  3. 線は、僕を描く』砥上裕將 講談社
  4. ノースライト』 横山秀夫 新潮社
  5. 熱源』 川越宗一 文藝春秋
  6. medium霊媒探偵城塚翡翠』 相沢沙呼
  7. 夏物語』川上未映子 文藝春秋
  8. ムゲンのi』知念実希人 双葉社
  9. 店長がバカすぎて』早見和真 角川春樹事務所
  10. むかしむかしあるところに、死体がありました。』青柳碧人 双葉社

まとめ

むかしむかしあるところに、死体がありました。は、昔話ならではの設定とキャラクタを活かした、本格ミステリ短編集

ミステリ好き~ちょっとかわった本が読みたいという方まで幅広くおすすめです。