「社会人の平均勉強時間は、たったの6分」
この数字、どこかで聞いたことはありませんか?
社会人がいかに勉強していないかなどという話題で、よく取り上げられる数。
インフルエンサーが、「大人も勉強しましょう」などというときに、使われますね。
「たいていの社会人は、6分しか勉強していません。この放送を毎日聞いて、勉強している皆さんは…etc.」
この「6分」という数字は、総務省による平成28年社会生活基本調査結果をもとにしています。
でも、こんな疑問を持ったことはありませんか?
6分ってあっという間。勉強して1ページも進まずに終わっているくらいの時間ですよね。
これは平均という統計のカラクリであり、全体として慣らすと、6分という数字が出てきてしまうだけです。
てわけで、本記事では、社会人の勉強時間が6分という数字について、
- どうしてこんな短い数字がでてくるのか
- 実際に勉強している人はどのくらい勉強をしているのか?
を、書いていきます
社会人の「平均」勉強時間について
社会人の平均勉強時間は6分か?
まず、社会人の平均勉強時間は6分というのが本当かどうか?ですが、
答えは Yes です。
先ほど書きました、平成28年社会生活基本調査 によりますと、
ここで、「学習・自己啓発・訓練」の定義を確認しておきます
「学習・自己啓発・訓練」 とは…
- 個人の自由時間に行うものを指し、学生の学業や、会社の研修などは含まれない。
- 目的が、知識・教養を高める、仕事に役立てる、転職・就職などの場合
- 趣味、娯楽としての読書、料理、絵画などは含まれない
つまり、
主に仕事をしている人で、研修などを除いて自由時間に自主的にしている勉強時間は平均6分でした
注:
社会生活基本調査は調査票Aと調査票Bの2種類の異なる調査方法の調査票からなります。
6分のデータは調査票Aの数字になります
平均はあまり意味を持たない
しかし、ここには平均という考え方の落とし穴があります。
平均値は、全体の数字をまとめて慣らしてしまうため、実際の数字とかけ離れてしまうことが起こります。
数学的な話をするとややこしいことになりますので、例えで説明しましょう。
例えば…
ここに10人の社会人がいます。年収はそれぞれ以下の通り
320万, 230万, 390万, 550万, 450万, 480万,250万, 600万, 350万,1億
この10人の平均年収は約1,300万円です
これが平均値です。この数字どう思いますか?
1億の人がいるために全体値が上がっているんですね。
計算としては間違っていないけれども、実態とはすごくかけ離れているように感じませんか?
このように平均値は、真ん中の数を表しているわけではないため、実際を見る場合に不適切な場合があります
話を、社会人の勉強時間に戻しましょう。
先ほどの年収の例と同じことが、勉強時間のデータでも起きてます。
行動率(実際に勉強している人の割合)から考えると、実際の社会人の勉強時間は、ほとんどが0分です。
勉強している人の時間と、勉強していない大勢の0分で平均をとるので、6分という中途半端な数字が出てくるんですね
つまり、先ほどの年収のように、実際とはちょっと違って見えるデータになってきます
実際に勉強している人はどのくらい?
ほとんどの人が勉強時間0分だとしたら、勉強している人はどのくらいいるんでしょうか?
この数字は「行動者率(実際に行動をしている人の割合)」として数字がでています。
これだと20人に1人も勉強していないということになります。
でも、あなたの周りを見渡してみるとどうでしょうか?
平日の仕事残業がある中で、帰宅後や出社前に勉強している人、どのぐらい思い当たりますか?
Twitter やオンラインコミュニティなどで出会う人たちを見ていると、みんなすごく勉強していると感じますが、現実の会社や日常生活では自主的に学んでいる人は少ない印象です。

(注:勉強時間の行動者率は調査票 A と B の数字が結構違いました。(Aは35%程度)
これはデータの取り方によるものと予想されますが、本題からずれるので、詳細は本記事では省きます)
勉強している人はどのくらい勉強しているの?
では、その行動している人達はどのくらい勉強しているのでしょう。
これは「行動者平均時間」という数字で出てきます。
行動している人達だけの時間で平均をとっているので、より現実的な数字がでてきます。
つまり、「社会人の平均勉強時間は6分」の実態は以下のようになります

社会人の勉強時間が短いのではなく、勉強している人としていない人での差がすごいというのが、この調査の実際のところになると思います。
勉強している社会人はどんな勉強をしているの?
ちなみに、勉強をしているとこたえた人達はどんな勉強をしているのでしょうか?
これについても、調査結果の中にありました
学習・自己啓発・訓練(学業以外) の内容
1位:パソコンなどの情報処理 (MOS・プログラミングなど)14.3%
2位:商業実務・ビジネス関係(簿記・商業実務・ビジネス英語)11.7%
3位:英語 10.7%
やはり、IT・お金・英語 が多いですね。
やっぱり結論はこれ:社会人も勉強しよう
さてここまでいろいろなデータを見てきました。
詳しいデータを知ることは興味深かったですが、やはり結論は変わりません。
社会人こそ勉強をしたほうがいい。
少ないのは、社会人の勉強時間、ではなく、そもそも勉強している人がすくない。だからこそ、勉強するだけで差別化できます。
正社員ですら安定が怪しくなってきているこのご時世、自分が頼れるのは自分の力。
そのためにも学ぶことは欠かせません。

まとめ
- 社会人の1日の平均勉強時間は6分
- 勉強時間ではなく、そもそも勉強している人がすくない
- 実際に勉強している人の割合(行動者率)は5%以下
- 勉強している人の時間(行動者平均時間)は150分
- 社会人こそ、勉強するだけで周りと差がつけられる
- 【結論】社会人こそ、勉強しよう!
社会人の勉強については、こちらのカテゴリの記事も参考にしてください
おまけ:実態に近い情報が知りたいなら一次情報を当たろう
本題とは関係ないところですが、最後に余談を1つ。
今回の記事は、有益な情報というよりはトリビアのようなものです。
データの細かいことを気にする人は多くないし、社会人の勉強時間は少ないという事実は変わらないでしょう
しかし、今回の平均値のように、実際のデータを見てみないと、事実とは異なる認識を持ってしまうこともあり得ます。
何人かのチェックが入るニュースなどでも、都合よく数字や発言が切り取られていたりすることもあります。
もしあなたが何かのデータについて、実際どうなんだろうっていうことが知りたい場合は、引用されている元の情報を当たることを、おすすめします。